2018年9月に広告事業を本格化させたZOZO。その狙いは、プライベートブランド「ZOZO」を始めとするZOZOが進めるファッション革命の“軍資金”集めだ。ZOZOならではのクリエイティブ力を生かし出店者や、外部の広告主向けの広告商品を販売する。ファッションにまつわるデータでライフスタイルを推察するアルゴリズムを開発し、3年で売上高100億円を目指す。

 18年秋に広告事業に再参入したZOZO。広告事業の開発や営業を率いるのが、ZOZOテクノロジーズ(東京・渋谷)代表取締役の金山裕樹氏だ。同氏はファッションメディア「IQON」を運営するVASILYの社長を務めていた。ZOZOがそのVasilyを17年に買収。VASILYでネイティブ広告などを開発した手腕を請われ、ZOZOの広告事業の責任者に着任した。

 金山氏はEC事業者がこぞって広告事業に参入する背景について、こう説明する。「広告はデータビジネスに移り変わっている。大量のデータを持っていれば、原資がかからず利益率の高いビジネスモデルであることが、EC事業者にとって魅力的だ」。つまり、ECサイトの規模が大きくなるにつれ、保有するデータも膨大になる。そのデータを自社のマーケティングだけではなく、広告主にも提供することで、高い利益率の収益を得られる。それが、広告事業への参入を後押ししている。

 ZOZOも同様の考えで再参入を決めた。「ファッションに特化した商品閲覧データや購買データを保有している点が強み。これを利益率の高い広告ビジネスに使う」(金山氏)ことを狙い、広告事業に再参入した。広告事業の収益は、ZOZOが標榜する「ファッション革命」に投資する。ZOZOのファッション革命とは、洋服の「買い方」「選び方」「作り方」の3つに革新を起こすこと。

 このうち、買い方については「EC事業が軌道に乗ったことで、ある程度達成できている」とZOZOの前澤友作社長は見る。一方、革命に着手し始めたばかりなのが選び方と作り方だ。「ZOZOSUIT」の提供により、自分の体に合ったサイズの洋服を選んだり、オーダーメードで製造したりできるようになった。プライベートブランド「ZOZO」は生産体制の不備による納期遅延や、寸法がシビアなビジネススーツに対して不満が噴出するなど、課題は山積みだ。だが、靴の販売も計画するなど、投資の手を緩めない方針。「そのファッション革命の軍資金となるのが広告事業」(金山氏)という位置づけだ。

出店者向けの検索連動型広告の提供を始めた。広告には「PR」のバッジが付く
出店者向けの検索連動型広告の提供を始めた。広告には「PR」のバッジが付く

 広告サービスは主に2つ。1つは、ZOZOTOWNの出店者向けの広告サービスだ。ZOZOの出店ブランド数は年々増加しており、直近の出店店舗数は1183にまで拡大している。ところが、「実際の利用者が目にする商品数はそれほど変わっていない」(金山氏)。つまり、商品数は膨大になったにもかかわらず、多すぎて探せない状況を招いているわけだ。売りたい商品があっても、「マーケティングをする手段がなかった」(金山氏)ため、商品群に埋もれてしまうことが課題だった。そこで、出店者向けには検索連動型広告を導入した。特定の商品に広告金額を設定して、利用者が検索したときに上位に表示する。詳細は控えたいとしながらも、特に広告効果の高いものに機械的に最適化されるような、独自の広告アルゴリズムを開発しているという。