デザイン思考を社内に定着させるには、社員にデザイン思考の手法を学ばせるだけでは難しい。学んだ内容を生かすため、社員同士が自由に議論できる環境もつくる必要がある。加えて新入社員までデザイン思考を理解していれば、デザイン思考が企業文化として定着しやすい。ここまで来れば、強い組織になりそうだ。

オフィスの移転を機にレイアウトを大幅に見直した結果、コミュニケーションが向上し、活発な議論を誘発した
オフィスの移転を機にレイアウトを大幅に見直した結果、コミュニケーションが向上し、活発な議論を誘発した
創業期より、顧客の満足度を優先し、顧客にとって本当に必要なサービスや商品を提供していくという「ユーザーファースト」を大切にしてきたヤフー。2016年に移転した紀尾井町オフィスでは、「フリーアドレス」「座席のジグザグな配置」「フリースペースの積極配置」などを取り入れることで、社内の人間がミーティングしやすい環境を整えた。それがチームワークを育てる要因にもなり、デザイン思考を進める一助にもなった

 多くの企業がデザイン思考に取り組んでも、なかなか社内に定着しないのは、単に学ぶだけで終わってしまうからだろう。自由に議論できる企業風土がなく、部門間の壁に阻まれるようでは、せっかく学んだデザイン思考を生かせない。企業文化を変えるまでの意気込みがなければデザイン思考も宝の持ち腐れになるだけだ。

新卒エンジニアもデザイン思考は必須

 デザイン思考を社内に定着させるうえで格好の事例がある。それがヤフーだ。同社の理念である「ユーザーファースト」を実現すべく、ユーザー起点のデザイン思考に注目。2014年から社内でデザイン思考の研修がスタート。今では社内に浸透し、サービス開発の部門がデザイン思考を活用して取り組んでいる他、人事など社内向けの部門でも社員を「ユーザー」と捉え、ユーザーファーストとしてデザイン思考の考え方で業務を手掛けているという。新卒のエンジニア向けにもデザイン思考の研修が組まれているほどだ。

 ヤフーが創業期より大切にしてきたユーザーファーストとは、顧客の満足度を優先し、顧客にとって本当に必要なサービスや商品を提供していくという考え方だ。以前から「ユーザーに問う」という姿勢でサービス開発を実行しており、使い勝手などのテストも頻繁に行っていたという。そういった土台があったため、デザイン思考が受け入れられやすかったのだろう。