スノーピークのキャンプ用品をオフィスで活用するケースが増えている。企業は、フロアの一角にアウトドア用の家具を設置したり、ビルの外にテントやタープを張ったりすることで、生産性の向上やコミュニケーションの活発化を期待する。

品川シーズンテラスでは、ビルの前に広がる緑地にスノーピークのテントやタープを並べ、期間限定のアウトドアオフィスを設けた (写真/新関雅士)
品川シーズンテラスでは、ビルの前に広がる緑地にスノーピークのテントやタープを並べ、期間限定のアウトドアオフィスを設けた (写真/新関雅士)

 ビルの前に並ぶいくつものテントやタープ。そこではネクタイ姿のビジネスパーソンらがリラックスした表情でミーティングをしている。

 場所は、東京・品川にある複合ビル「品川シーズンテラス」の広場。同ビルを運営するNTT 都市開発は、近隣のオフィスワーカーを対象に、打ち合わせなどに使ってもらう期間限定サービスとして、18 年9 月10 日からの8 日間、「品川アウトドアオフィス」を開催した。

 広場には、タープ( 8 人用の会議デスクとチェア、ホワイトボード)を4 セット、テント( 6 人用のテーブルとクッション、ホワイトボード)を3 セット、たき火台を利用したテーブル( 8 人分のチェア)を2 セットそれぞれ設置。無料のWi-Fi や電源も用意した。利用料金はタープの場合、個人は1 時間当たり300 円で団体が1000 円、テントは個人団体問わず1000 円、たき火台は500 円に設定した。

 16 年と17 年にも同サービスを開催したが、初回が10 日間で約600 人、2 回目が5 日間で約400 人が来場した。3 回目の今回の来場者数は、天候不良の影響で前回を下回った。それでも「利用者にアンケートを採ると97 %が『またやってほしい』と回答するなど、評判は非常に良かった」とNTT 都市開発商業事業部品川シーズンテラス総合管理事務所の渡辺宏紀担当課長代理は言う。

 取材した日には、アドビ システムズやNTTコミュニケーションズのグループが利用していた。「我々のチームは、普段は社内にいる業務なので、こうした場所でミーティングをするとテンションが上がり、コミュニケーションがスムーズになる。単なる打ち合わせ以上の、チームビルディングとしての効果もある」とアドビ システムズジャパンデジタルメディアサポートカスタマーエクスペリエンスインプルーブメントジャパンリーダーの清水哲麿氏は話す。

 「このビルには都会では珍しく広い緑の空間があるが、オフィスワーカーがランチなどに使うぐらいで、それほど有効に活用されていなかった。ここをアウトドアオフィスにすることで、良いアイデアが生まれたり、コミュニケーションが活発になったりして社内の風通しが良くなるといった効果が期待できる。ビルに入居しているテナント企業へのサービスの一環として始めたが、他の地域から来る利用者も多く、注目度の高さに驚いている」(渡辺担当課長代理)。NTT 都市開発は、19 年以降も同サービスを継続する予定だ。

テントが4張、タープが4張用意されている。利用料金は、テントが1時間1000円、タープが1時間300円(個人)、1000円(団体)
テントが4張、タープが4張用意されている。利用料金は、テントが1時間1000円、タープが1時間300円(個人)、1000円(団体)
タープを使った様子。アウトドアだが、会議や仕事に必要な電源やホワイトボード、Wi-Fiをそろえる
タープを使った様子。アウトドアだが、会議や仕事に必要な電源やホワイトボード、Wi-Fiをそろえる

 スノーピークは、これまでの消費者向けのキャンプ用品などを販売するBtoC事業に加え、企業や自治体向けのBtoB事業を拡大している。品川シーズンテラスのようなオフィス向けのキャンプ用品販売を含めたアウトドアオフィス事業、三井不動産レジデンシャルなどの住宅関連企業と協業するアーバンアウトドア事業、自治体が運営するキャンプ場施設の再開発などを手掛ける地方創生事業の3 つを主な成長事業と位置付けて、20 年度には3 事業の合計売り上げを約14 億円にする計画だ。

 同社の17 年度の売り上げは、約100 億円。3 事業の売り上げは全体から見ればそれほど大きくない。しかし、直営店やスポーツ量販店以外に販路が広がるメリットがある。さらに、オフィスや住宅などを通して、日常的にキャンプへ行かない非キャンパーに自社製品をアピールできるという点で大きな意味を持つ。キャンプ愛好家は国民の6 %程度といわれている。同社が成長するには、残りの94 %にスノーピークブランドの認知度を高め、購入へと導くことが欠かせないからだ。

第2回
マンション1階から完売も スノーピーク「家でもキャンプ」効果