スノーピークが提案する“都会でキャンプ”というライフスタイルは住宅のデザインを変えようとしている。三井不動産レジデンシャルとマンションを共同で開発。スノーピーク仕様の住空間は自然志向を強めた消費者の注目を集めている。

パークホームズ立川の「半ソト空間」(写真提供/三井不動産レジデンシャル)
パークホームズ立川の「半ソト空間」(写真提供/三井不動産レジデンシャル)

 ある晴れた日の週末。湾岸エリアにあるタワーマンションの敷地内に広がる共用スペースでは、都会の喧騒(けんそう)をよそに複数の家族がテントを張り、バーベキューを楽しんでいる──。2019 年夏ごろには都内で実際に可能になる光景だ。

 三井不動産レジデンシャル(以下、三井不レジ)は、スノーピークと共同で東京・晴海にタワーマンション「パークタワー晴海」を開発し、19 年5 月に竣工する。敷地面積は約1 万9000平方メートル、総戸数1076 、地上48 階建ての超高層タワーマンションだ。最多販売価格帯は、6000万~7000万円程度で高額の部類に入る。

 同マンションの特徴の1 つに共用スペースに設けるキャンプフィールドがある。約500平方メートルの敷地で、テントを張ったキャンプやバーベキューが可能になる。必要な道具類は住民に貸し出す。それらはもちろんスノーピーク製品である。

 これだけではない。屋内の共用スペースは、住民の交流スペースとしての活用を想定し、スノーピークのテントやタープ、テーブル、チェアなども設置する。このスペースは地震などの災害時に、臨時の避難場所として活用できるメリットもある。

屋外の共用スペースにはキャンプサイトを設ける。バーベキューやテントを張っての宿泊も可能。バーべキューやキャンプに必要な道具を貸し出す
屋外の共用スペースにはキャンプサイトを設ける。バーベキューやテントを張っての宿泊も可能。バーべキューやキャンプに必要な道具を貸し出す
パークタワー晴海の屋内の共用スぺース「オーナーズリビング」。人工芝の上にスノーピークのテントやタープ、テーブル、チェアなどを設置する。主に住民の交流スペースとして活用する
パークタワー晴海の屋内の共用スぺース「オーナーズリビング」。人工芝の上にスノーピークのテントやタープ、テーブル、チェアなどを設置する。主に住民の交流スペースとして活用する

 スノーピークは、これらの共用スペースをプロデュースし、アウトドア用品を提供する。加えて、スノーピークのスタッフがテントや日差しや雨を防ぐためのタープの張り方、アウトドアでのコーヒーのいれ方などをレクチャーするプログラムも企画運営する。自社製品に触れる機会を増やすことで、ブランドの認知度を高め、販売につなげる狙いがある。

 一方、三井不レジは、スノーピークのブランド力を借り、都会でのアウトドア体験を付加価値として打ち出すことで、ファミリー層に同マンションを効果的に訴求できる。

 東京五輪を前に東京・豊洲などの湾岸部ではタワーマンションの開発ラッシュの様相を呈している。売れ残りを避けるためには、他にない魅力が欠かせない。そこで近年、手ぶらでバーベキューを楽しめる施設が人気を集めている点に注目。大型のスポーツ用品店ではキャンプ用品売り場が拡大傾向にある。そうした背景もあり、マンション内で手軽に可能なアウトドア体験は、ターゲットである30 、40 代の子育て世代の心をつかむコンテンツになると同社は判断した。

 同社都市開発二部事業室主事の小林悟氏は、「パークタワー晴海の販売は順調で、残り戸数は200 弱ほど。引き渡しが始まる19 年6 月までには、ほぼ売り切る予定」と語る。

スノーピーク 営業本部東日本事業創造部シニアマネージャー 吉野真紀夫氏 (写真/花井智子)
スノーピーク 営業本部東日本事業創造部シニアマネージャー 吉野真紀夫氏 (写真/花井智子)