食品にとどまらず、家電、小売り、AI・IoTといったテクノロジー分野などを幅広く巻き込んだ近未来の食の革命、「イノベー食(ショク)」の衝撃を先進事例から読み解く本特集。第3回は、クックパッドやニチレイが目指す膨大なレシピデータを活用して家庭の食卓を変える新サービスを取り上げる。

レシピを起点とした新アイデアが続々と生まれている(写真/Shutterstock)

 近未来の食の革命「イノベー食」において、テクノロジーを使って家庭の食卓を豊かにする取り組み「スマートクッキング」も急速に進化しているジャンルの1つだ。その核となるのが、膨大なレシピデータの活用。調理家電と連携して調理をラクにしたり、個々人の嗜好に合わせたレシピを的確にレコメンドしたりと、新サービスの開発が急ピッチで進められている。

 その好例が、レシピ検索大手のクックパッドが取り組む「OiCy(オイシー)」だ。これは、クックパッドに投稿されたレシピをネット接続されたIoTキッチン家電が読み取り可能な形式(MRR: Machine Readable Recipe)に変換し、レシピ内容に合わせて機器を自動制御できるようにするデータプラットフォーム。例えば、クックパッドが試作した調味料サーバー「OiCy Taste」は、しょうゆやみりん、料理酒、酢の調味料ボトルを収納しており、連動するスマホアプリからレシピを選択するだけで、「大さじ2杯」「小さじ1杯」など必要な分量をカップに自動で出せる。料理の途中で調味料を取り出したり、煩わしい計量の手間を減らしたりするためのアイデアだ。

クックパッドの「OiCy」はキッチン家電を進化させるプラットフォームとして期待される

 同社は、このプラットフォームを使った製品やサービス開発のパートナー企業10社を18年8月に発表。そこには、シャープやタイガー魔法瓶、日立アプライアンスといった家電メーカーや、LIXIL、クリナップのような住宅設備会社が名を連ねる。そして12月には、パナソニックが手掛ける家電から住宅設備までの統合プラットフォーム「HomeX」とも戦略的パートナーシップを結んでいる。これらにより、19年中にもクックパッドのOiCyを活用したIoT家電やサービスが登場する見込みだ。すでに海外では、レシピサービスのKitchen Storiesを独ボッシュが買収したり、レシピ連動で加熱温度を自動調節するIHクッキングヒーターなどが登場したりと注目の分野であり、日本でも今後、一気に市場が拡大しそうだ。

 一方、毎日の食卓を飾る料理をより個人の嗜好に合わせたものにするべく、レシピ選択の精度を上げる新種のレコメンドサービスの開発も進んでいる。手掛けるのは冷凍食品大手のニチレイ。実に意外な組み合わせだが、同社は既存事業に縛られず、「次の10年」を担う100億円超えの新事業プロジェクトの1つとして、2020年の本格展開を目指して食のレコメンドサービス「conomeal(このみる)」を立ち上げる計画だ。

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