ほんの10日ほどで原資100億円が尽きたPayPayの大還元キャンペーン。こうした思い切った投資を決断した背景には、ヤフーブランドを使わず新ブランドを立ち上げたことで他事業者に後れを取ったことがあるとみられる。消費者1万人に実施した調査結果から、裏事情を読み解く。

 前回の記事「キャッシュレス決済の先進県は? 47都道府県ランキング発表」ではQRコード決済の利用意向が10代で高いが、シニア層も現金を好んでいるわけではなく普及の可能性があることを指摘した。では、QRコード決済サービスは本当に普及するのか。調査結果を深掘りして探っていこう(調査概要は本文最後に記載、調査期間は10月25~30日)。

 キャッシュレス決済手段の認知率、利用率をまとめたのが下のグラフだ。クレジットカードの認知率の89.6%に対して、QRコード決済サービスは18.7%と約6分の1にとどまる。

キャッシュレス決済の認知率と利用率
キャッシュレス決済の認知率と利用率
キャッシュレス決済の中で認知率、利用率が最も高いのはクレジットカード。QRコード決済は認知率18.7%、利用率は2.0%にとどまる
  • ※1 プリペイドカード(「au WALLT プリペイドカード」「おさいふPonta」「dカード プリペイド」「LINE Payカード」など、チャージして残高から支払うもの)
  • ※2 後払い型電子マネー(「QUICPay」「iD」など、支払った金額をクレジットカードやデビットカードで後日まとめて支払うもの)
  • ※3 スマートフォン標準決済(「Apple Pay 」「Google Pay」など、スマートフォンをかざして支払うもの)
  • ※4 QRコード決済(スマートフォンの画面にQRコードを表示、または店舗が掲示したQRコードを読み取って支払うもの)
  • ※5 非接触型クレジットカード(「Visa payWave」「Mastercardコンタクトレス」 「JCB Contactless」「American Express Contactless」など、クレジットカードを電子マネーのようにかざすだけで支払うもの)
  • ※6 銀行Pay決済(「はまPay」「YOKA!Pay」「りそなPay 」など、銀行口座直結で連動して支払うもの)

 その他の認知率は、交通系電子マネー(59.5%)、「au WALLET プリペイドカード」「おさいふPonta」などのプリペイドカード(52.1%)、デビットカード(40.9%)、「Apple Pay」などのスマートフォン標準決済(35.0%)、流通系電子マネー(24.9%)など。QRコード決済サービスは、多様なキャッシュレス決済手段の後を追う情勢だ。

 QRコード決済サービスの利用率になると2.0%にとどまった。QRコード決済サービスを認知する人(18.7%)のうち10人に1人ぐらいが利用している。クレジットカードは認知者の8割近くが利用しており、それらに比べると話題先行型であると言える。

 それぞれの決済手段の認知者に、利用する理由も尋ねた。「どこでも使えるから」と答えた比率が高いのは、現金の85.3%を筆頭に、2位にクレジットカード32.8%、3位に交通系電子マネーと後払い型電子マネーが18.6%と同率で続く。同様に「使うと得するから」はクレジットカードの51.7%が最高、「支払時のやり取りが速いから」は、後払い型電子マネーの44.9%が最高となった。各決済手段の特長が浮かび上がる。

各決済手段を利用したい理由(複数回答)
各決済手段を利用したい理由(複数回答)
決済手段によって使いたい理由は分かれるが、QRコード決済はどれも低く、使う理由が明確になっていない。※その他4項目の使いたい理由も含めた調査結果は、ムック「QR決済」で公開

 反対に、利用したくない最大の理由を尋ねたところ、現金は「財布の中でかさばるから」が59.9%で最多、クレジットカードでは「浪費しそうだから」が57.4%で最多になった。一方、QRコード決済サービスは「理由は特に無い」の39.8%が最多。こうして分かるように、QRコード決済サービスは利用したい理由、利用したくない理由共に回答比率が低く、利用のメリット、デメリット共に理解が進んでいないようだ。

各決済手段を利用したくない最大の理由(複数回答)
各決済手段を利用したくない最大の理由(複数回答)
QRコード決済は利用意向が低いにもかかわらず、その理由も明確ではない。サービスへの理解が不足しているとみられる

 なお、前回の記事で指摘した中高年齢層の現金嫌いは、キャッシュレス決済の代表的な手段であるクレジットカードを使う理由からもうかがえる。使う理由として最も多いのは、25~44歳までは「使うと得するから」がトップ、45~60歳以上では「小銭を出さなくて済むから」がトップとなっている。