カフェ&バー業態「プロント」にキャッシュレス店舗が登場した。現金処理を無くすことで、スタッフの作業を軽減。さらにオペレーション全体を見直すことで以前よりも少人数での運営が可能になる。プロントコーポレーション(東京・港、以下プロント)は、2020年までに30店の出店を目指す。

「カフェ&バープロント二重橋スクエア店」では、入り口付近やスタッフのユニフォームの表示で「CASHLESS」(キャッシュレス)をアピールしている。カウンターでの注文時にも現金支払いが不可であると案内する
「カフェ&バープロント二重橋スクエア店」では、入り口付近やスタッフのユニフォームの表示で「CASHLESS」(キャッシュレス)をアピールしている。カウンターでの注文時にも現金支払いが不可であると案内する

 QRコードをはじめとしたキャッシュレス決済の普及は、出店を拡大したい飲食店にとって追い風となる。

 プロントが18年11月8日にオープンした「カフェ&バープロント二重橋スクエア店」は、東京・丸の内の新商業施設「二重橋スクエア」の地下1階にある。入り口横の看板と正面には大きく「CASHLESS」の文字、その上には、紙幣と硬貨が使用できないことを示すサインが目立つ。キャッシュレス決済のみに対応することを示す案内表示だ。現時点で、クレジットカードは14種類、交通系カードを含む電子マネーが15種類、そのうちQRコード決済は、「アリペイ」「ウィーチャットペイ」の2種に対応する。

注文カウンターに設置したディスプレーと決済端末。多数の決済手段に対応していることが一目で分かる
注文カウンターに設置したディスプレーと決済端末。多数の決済手段に対応していることが一目で分かる
プロントコーポレーション プロント事業本部事業企画部兼次世代プロント業態開発室部長 冨田健太郎氏
プロントコーポレーション プロント事業本部事業企画部兼次世代プロント業態開発室部長 冨田健太郎氏

人手不足がキャッシュレス化を加速

 同社が、キャッシュレス店舗の初出店に踏み切った背景には、外食産業全体が直面している深刻な人手不足がある。全国に展開し、知名度の高いプロントも例外ではない。同社プロント事業本部事業企画部兼次世代プロント業態開発室部長の冨田健太郎氏は、「ここ数年、急速に人を集めにくくなっている。求人広告を打っても応募がないことも珍しくない」と語る。

 今後、求人への応募が増える見込みはない。事業を拡大していくには、これまでよりも少人数で運営できる店舗の開発が不可欠だ。今回、プロントが新店をキャッシュレス化したのは、現金を扱う作業を不要にするのに加え、オペレーション全体を見直すことで、スタッフの作業を軽減し、さらには少人数での店舗運営の可能性を探る狙いがある。

 ではキャッシュレス化によって、どの程度の作業軽減が可能なのか。

 従来のプロントでは、現金の金額を営業時間中に2、3回の頻度で勘定する他、レジ締めや銀行への入金など現金を扱う作業に1日当たり2時間を費やしている。現金の決済額と手元の現金の合計が一致しなければ、数え直しも発生する。それでも一致しなければ、スタッフに疑いの目が向けられかねない。キャッシュレス化によって、こうした作業が不要になるため、人件費を削減できるメリットもある。また「現金を扱うことによるスタッフの心理的な負担を軽減できて、気持ちよく働けるようになる点も大きい」と冨田氏は説明する。

 プロントはこれ以外に、簡単な操作でコーヒーやカフェオレなどのドリンクをいれられる自動コーヒーマシンを導入した他、フードを中心にメニュー数を40程度も減らし、スタッフの作業を簡素化した。また、これによって、現場での新人スタッフ教育に要していた期間を、従来の1カ月間から、20日間に短縮できた。

 こうしたオペレーションの見直し効果は大きい。新店は、面積が29坪で、席数は52。同規模の店舗を通常は4人で運営している。一方、新店は、3人での運営が可能になるとみている。プロント以外でも、都心部にあって、慢性的な人手不足に悩む飲食店では完全キャッシュレス化に移行するケースは増えそうだ。

スタッフの作業を簡素化するため自動コーヒーマシンを導入した
スタッフの作業を簡素化するため自動コーヒーマシンを導入した
店内は落ち着いた雰囲気。面積が29坪で、席数は52
店内は落ち着いた雰囲気。面積が29坪で、席数は52