リオネル・メッシ、ルカ・モドリッチといったスター選手を擁するスペインのプロサッカーリーグ「ラ・リーガ」。世界中のファンを楽しませ、実際にスタジアムに足を運んでもらい、より儲かるリーグにする武器として先端デジタルプラットフォームへの積極投資を進める。

ラ・リーガは、メッシ選手など超一流選手を揃えるだけでなく、選手のプレーを360度あらゆる角度から見られるシステムやVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)などを他国に先駆けて導入。目の肥えたサッカーファンを楽しませるIT武装に注力(写真:なかしまだいすけ/アフロ)
ラ・リーガは、メッシ選手など超一流選手を揃えるだけでなく、選手のプレーを360度あらゆる角度から見られるシステムやVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)などを他国に先駆けて導入。目の肥えたサッカーファンを楽しませるIT武装に注力(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

 FCバルセロナ、レアル・マドリードなど、世界的な人気を誇るサッカーチームが所属するラ・リーガが創設されたのは1929年。2019年で丸90年という長い歴史を誇る。

 現在、ラ・リーガはプリメーラ・ディビシオ(1部)とセグンダ・ディビシオ(2部)で構成され、1部には20チーム、2部には22チームが所属する。1部リーグにはアトレティコ・マドリード、バレンシアCF、セビージャFCなどの強豪チームがひしめく。日本代表ミッドフィルダーの乾貴士選手、柴崎岳選手など日本人選手も活躍。日本での知名度も高い。

 「世界最高峰のチームが集まっている」とラ・リーガ・グローバル・ネットワーク・ジャパン部門のオクタビ・アノーロ氏は胸を張る。

 ラ・リーガは「It's not football. It's LaLiga」(これはサッカーではない。ラ・リーガだ)というスローガンを掲げる。これは、英プレミアリーグや独ブンデスリーガ、伊セリエAなど欧州のプロサッカーリーグだけでなく、米NBA(男子プロバスケットボールリーグ)や米MLB(メジャーリーグ)、F1など異種のプロスポーツ、そしてネットフリックスやHBOなどのコンテンツ事業者すらも「競合相手」として捉えていることを意味する。

 そうした競合相手よりも高いエンターテインメント性を提供し、「ファンをワクワクさせ、より多くのファンを獲得するため」(同氏)、ラ・リーガは18年にテクノロジーを活用した複数の改革を実施した。その1つが「MEDIACOACH」(メディアコーチ)と呼ぶパフォーマンス・モニタリング・システムの導入だ。

 デジタルデバイスで取得する選手の位置データからプレー中の位置や走行距離を把握。そのデータをヒートマップの形で可視化してディスプレーに表示する。さらに練習や試合中に、選手ごとに設定している規定の走行距離に達すると、コーチングスタッフの端末にアラームが出て、練習内容や試合時の選手交代を検討するデータとしても活用している。

 アノーロ氏によれば、「他のサッカーリーグが(同様のシステムを)使っているのを見たことがない」。ラ・リーガでは所属42チームすべてがこのシステムを活用している。

 正確なジャッジも、リーグへの熱を下げさせないために重視している。ラ・リーガでは、ワールドカップやアジア大会などで活用が進むVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を他国に先駆けて導入。20個ものカメラのアングルの切り替えや停止、ビデオの再生、拡大などを可能にし、レフェリーが正確なジャッジができていたかを確認できるようになっている。

 導入した最初のシーズンには2280の場面でVARが活用され、そのうち59件のジャッジが修正された。コントロールセンターとピッチとのコミュニケーションを確実にするため、レフェリーが装着するデジタルウオッチの開発にも取り組んでいる。