中小企業がデザイナーと組んで開発したヒット商品、ウエアラブルメモ「wemo」。腕に巻いて使用するシリコンバンド型のメモが、マーケティング予算が限られているにもかかわらず、発売以来1年間で10万本の受注を獲得。海外でも販売が決まった。現在進行形のプロジェクトの全貌を追う最終回。

 前回は、wemoバンドタイプ以降の製品展開について書きました。今回は海外展開についてお伝えします。

【2018年7月13日 海外エージェントからの打診】

図1:インチ表示のwemo (C)kenma Inc.
図1:インチ表示のwemo (C)kenma Inc.

 コスモテックの高見澤友伸社長から電話があり、ミーティングをセットしたいとの連絡があった。米国を中心に海外展開を支援しているエージェントがwemoに興味を持っており、そのエージェントと組むべきかどうか意見を聞かせてほしいとのこと。

 先方のスタッフが「国際 文具・紙製品展(以下ISOT)」に視察に来ており、wemoが目に留まったそうだ。

 前々から高見澤社長は海外展開への挑戦を口にしており、海外からの問い合わせもその時点ですでに20カ国以上からあったので、良いタイミングではないかと感じた。

 ちなみにwemoはさまざまな海外メディアで掲載されている。1度目はバンドタイプに発売後、2度目は前回お伝えしたパッドタイプとケースタイプをISOTに出展した後である。どちらも複数のデザインメディアにこちらからコンタクトし、掲載してもらうことができた。その掲載をきっかけに他のメディアでも取り上げられ、20カ国からの問い合わせにつながったのだ。

 問い合わせを通して、国内と同様のニーズが存在する可能性があることをつかんでいるので、我々としても海外展開にぜひチャレンジしたいと考えていた。

【7月24日 Skype MTG】

 早朝、私と高見澤社長、エージェントでミーティングを実施。すでに高見澤社長とそのエージェントは一度話しているので、主に私との顔合わせがメインであった。相手は米ニューヨーク在住の日本人の方で、20年以上のキャリアをお持ちだった。ジェトロ(日本貿易振興機構)からも業務を委託されているらしく、ネガティブな印象は特になかった。

 先方からは自社の強みや支援内容の説明があり、私からはwemoの海外マーケティングについての具体的なアプローチを質問した。正直、短時間で相手を判断することは難しく、結局、相性が良いかどうかで判断するしかない。

 高見澤社長にはミーティングの後、先方をパートナーにチャレンジしてもよいのではないかと報告した。

【8月31日 Skype MTG】

 コスモテックとエージェントの契約が完了し、具体的な展開プランについて打ち合わせることになった。日本と同様に展示会への出展を起点に取扱店舗を増やす計画とのこと。直近では、19年2月に開かれる北米最大規模のギフト関連展示会「NY NOW(ニューヨーク・ナウ)」と、3月にシカゴで開催される北米最大規模の生活・家庭用品見本市「International Home + Housewares Show(以下IHHS)」のブースをすでに押さえているそうなので、そこへの出展を検討することになった。

 次に議論したのは、製品のローカライズについて。目盛りの表示をインチに変更することや、パッケージやパンフレットの翻訳といった簡単なことから、活用シーンの画像や説明用の動画のことまで多岐にわたった。

 最後に、とても良い報告を受けた。打ち合わせの数日前、米国で出展した展示会のスタッフにwemoをテスト的に紹介してもらったところ、来場者の反応がとても良く、ある小売店から取引の打診があったとのこと。幸先はとても良さそうである。

図2:海外向け利用イメージ (C)kenma Inc.
図2:海外向け利用イメージ (C)kenma Inc.