大手企業の宣伝部長が自身の保身のために導入を躊躇した。それほど、精緻にテレビCMの効果を分析できるツール。それが「Madison」だ。PTP(東京・新宿)が自社で開発した全録技術を活用して、競合も含めて全国のGRP(延べ視聴率)を放送翌日に分析可能にした。特集の2回目では、その実力を見る。

 「そこまで精緻にデータが分析できたら、“犯人”が分かってしまう」

 ある大手広告主の宣伝部長は、そのサービスの導入にこう難色を示した。全国のテレビCMの出稿量を地域ごとに競合と比較したり、POS(販売時点情報管理)と併せて分析することでテレビCMの販売への影響を分析したりできる、テレビ視聴データ分析サービス「Madison」のことだ。テレビデータ事業のPTPが2018年4月から提供している。PTPは以前から展開してきた全録技術を使い、32のエリアですべてのテレビ番組を録画して分析可能なデータにすることでMadisonを開発した。全国27地域で自社と競合のGRPや、SOV(シェア・オブ・ボイス、広告露出量シェア)を分析できる。

 このMadisonのデータと、企業が購入して保有するPOSデータを組み合わせて分析した導入企業では「面白いぐらいに、テレビCMの出稿と売り上げが連動していることが分かる」(PTPの有吉昌康社長)。放送翌日には、地域ごとに競合のGRPやSOVも分析できる。どの地域で競合にSOVで競り負けているかが一目で分かる。この精緻さは、テレビCMの予算配分を広告代理店に丸投げしているような宣伝部長にとっては具合が悪い。

 例えば、地方の営業部門から「販促を強化するので、テレビCMの出稿を増やしてほしい」、そんな要望が寄せられていたにもかかわらず宣伝部では応じなかった。結果、その期間は競合にSOVで負けた。その期間のPOSデータと突き合わせたところ、売り上げも下がっていることが分かった。従来は分からなかったそんなデータも、Madisonなら鮮明になる。当然、テレビCMの出稿量だけが売り上げを決定するわけではないが、これまでよりもずっと効果検証がしやすくなる。

 Madisonはこれまで蓄積した過去のデータを使い、導入後からすぐに分析できるため、分析結果次第では誰が売り上げ減少の“犯人”か明らかになり、責任を問われることになりかねない。都合が悪い真実が明るみに出ることを恐れるあまり、口をついて出たのが冒頭の言葉というわけだ。裏を返せば、きちんと効果検証をして次回のプランニングに生かせば、テレビCMの効果をさらに高められる可能性があるとも言える。