ゲーム「脳トレ」でブームを起こした東北大学の川島隆太教授が新境地に踏み出した。東北大学と日立ハイテクノロジーズが立ち上げたNeU(ニュー、東京・千代田)は、脳活動を測る30gの小型機器を開発した。潜在意識を浮き彫りにする技術はマーケティングや製品開発の手法を一変させる可能性がある。

NeUのCTO(最高技術責任者)で東北大学の加齢医学研究所長の川島隆太教授。NeUはCEATEC JAPAN 2018の会場で新製品をアピールした

 幅は8cm、重さは30g。NeUが2018年12月に発売する「XB-01」は、手のひらに乗るほどの小さな機器。これまでは大掛かりな研究用装置でしかできなかった脳活動の可視化を実現する。この機器を手に持って額に当てるだけで、スマートフォンやタブレットと無線で接続し、脳の活動状態を測定できる。NeUは東北大学と医療用機器などを製造する日立ハイテクノロジーズが17年に立ち上げた。川島教授は、NeUのCTO(最高技術責任者)に就任している。

ドローンを脳で遠隔操作

 「こんな使い方もできるんです」。家電とITの展示会「CEATEC JAPAN 2018」の会場で講演した川島教授は、XB-01を使ってドローンを遠隔操作する様子を見せた。女性モデルが額にXB-01を当てて、意識を集中させるとドローンが上昇し、リラックスすると下降する。まるでテレパシーを使っているかのような、不思議なデモだった。

2018年10月に開催されたCEATECでの講演で、脳活動センサーを使ってドローンを操作するデモを実現した

 筆者も脳活動で操作するゲームを試してみた。右から左にスクロールする画面の中で飛行機が飛んでいる。脳の働きによって飛行機の高さを操作し、画面の中央に流れてくるコインをできるだけたくさん取るというものだ。確かに、書類の文章を読んだり、頭の中で計算をしたりすると、飛行機が上昇する。目線を天井に向けて深呼吸をすると下降する。初めはうまく操作できなかったが、5分ほど続けるとコツがつかめるようになってくるのが面白い。

 脳活動の測定には、近赤外光を使っている。脳は活性化すると、その部分の血流量が増える。血液内のヘモグロビンが近赤外光を吸収するという特性を生かし、装置から照射した近赤外光の反射をセンサーで受け取り、脳の血流量の変化を測定する。

 以前から、脳が発する微弱電流である脳波を測定する機器もあったが、「(信号と雑音の比率を表す)SN比が3桁くらい違う」(川島教授)ことから、近赤外光方式のほうが圧倒的に精度が高いという。

第5回
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