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持続的イノベーション事例の2社目は、タニタに焦点を当てる。同社は体脂肪計・体組成計メーカーから、「タニタ食堂」などの外食事業、そして2018年9月に発表した健康プラットフォーム構想など、健康の測定から健康づくりへと事業を拡大中。タニタ流イノベーションの原点は19年前に閉鎖した施設にあった。

 東武東上線ときわ台駅から徒歩7分、見えてくるのが「脂肪計付ヘルスメーター世界No.1」と書かれたタニタ(東京・板橋)の看板だ(写真)。そのすぐ下に「ベストウェイトセンター」という表記が見える。

タニタ本社の手前に設置されている看板

 ベストウェイトセンターは、今から19年前(1999年)に閉鎖した施設だ。肥満者向けの会員制施設として90年にオープン。流水プール、トレーニングルームなどの運動設備や減量メニューを学ぶ調理室を備え、会員の脂肪量、代謝量のデータを取りながら栄養、運動の個別指導プログラムを作成、提供していた。同時に体重管理を科学的に分析する体重科学研究所(現、コア技術研究所)も設立し、医師、栄養士らと連携して肥満の研究を進めていた。

 しかしながら会費が3カ月で30万円と高額だったことや、まだ今ほど健康に対する意識の高まりがなかった時代背景から会員数は伸び悩み、10年弱で閉鎖した。センター単体の会員サービス事業としてみれば失敗ではある。それでも同センターおよび研究所で培った研究内容や取得したデータ、ノウハウが、タニタのイノベーションの原点になっている。ちなみに、同センター跡地にできたのが、あの「社員食堂」である。