※日経トレンディ 2018年12月号の記事を再構成

日経トレンディが選んだ「2019年ヒット予測」の4位は「日本版Amazon Go」がランクイン。商品を棚から取ってそのまま店の外へ──。これだけで買い物が済ませられる未来的な買い物シーンが、2019年には日本各地で見られるようになる。

スタンダード・コグニションの、カメラとAIを活用した商品判別のデモ。人の行動まで把握し、何を購入するのかを分析する。万引きの防止にも活用が可能だ
スタンダード・コグニションの、カメラとAIを活用した商品判別のデモ。人の行動まで把握し、何を購入するのかを分析する。万引きの防止にも活用が可能だ

無人化の波が日本で加速

 米国では今年1月にアマゾン・ドット・コムがレジなしの“無人コンビニ”「Amazon Go」をシアトルに出店。カメラとAI(人工知能)を組み合わせた画像認識技術に加え、重量センサーを駆使して客が棚から取った商品を認識して自動精算する。アマゾンはこれを数千店規模に広げる計画だ。一方、中国では、電子タグを使うRFID方式の無人店舗「Bingo Box」が僅か半年で数百店舗まで急増するなど、無人店がブームに。その波が19年、日本に押し寄せる。

 日本で先行して普及しそうなのが、Amazon GoのようにカメラとAIを組み合わせた無人化システムだ。ただ、重量センサーなどは使用せず、天井などに取り付けた複数のカメラで店内を見渡してAIで客や商品を認識し購買情報を把握する新機軸のシステムが本命。なかでも有力なのが、米国でレジなしコンビニを実験運用しているスタートアップ、スタンダード・コグニション。日本で19年半ばまでに大型ドラッグストアの実店舗を丸ごと使った実証実験を始める計画で、20年までに3000店への導入を目指す。

 専用アプリを使って店内でチェックインするのが特徴で、商品を棚から取って店を出るだけで登録したクレジットカードなどで決済される仕組み。商品だけでなく、人の行動を分析する独自のAIが強みで、「商品を元あった場所以外の棚に戻したり、誰かに手渡したりしても最終的に誰が購入者なのかを把握できる」(スタンダード・コグニション日本オフィス代表の西山陽平氏)。また、アプリを利用しない人でも恩恵は受けられる。チェックインをしない場合でも、無人レジで決済をするだけでいい。

 日本勢もカメラとAIを組み合わせたシステムの開発を進める。サインポストは昨年11月にJR大宮駅で、今年10月にはJR赤羽駅で実証実験を行った。大手小売りも注目しており、19年にも実店舗への導入を目指している。さらに、VAAKは、防犯カメラとAIで人の行動を分析し、万引きの兆候を発見するシステムを開発。その技術を生かした無人レジシステムを19年春にも本格展開する。

 カメラとAIのみを使うシステムの利点は、導入のしやすさにある。1店舗に必要なカメラやセンサーが数千台といわれるAmazon Goに比べ、「一般的なコンビニであれば25〜30台のカメラで実現可能」(スタンダード・コグニションCOOのマイケル・サスワル氏)。圧倒的にコストが低い。また、前述のBingo Boxや日本の大手コンビニチェーンなどが開発を進めるRFID方式で必要な商品に電子タグを付ける面倒な作業も省ける。無人レジシステムは、人手不足や人件費高騰に悩む小売店にとって救世主。コスト削減のために無人化する店舗だけでなく、浮いた人手でサービスを強化する“おもてなし重視の店”なども登場しそうだ。

 より小型の無人コンビニも生活に溶け込み、普及する。注目は「600」。自動販売機サイズながら、食品から文房具、日用品まで何と最大600品を販売することができ、クレジットカードで手軽に買い物ができる。現状はオフィス内を中心に展開しているが、「今後は商業施設やマンションの共用部など、さまざまな場所へ展開を強化する」(600CEOの久保渓氏)。コンビニよりも身近な業態が新たに誕生し、買い物シーンが大きく変わりそうだ。