インターネット調査が安価でスピーディーにできるようになり、アンケート実施のハードルが下がった。企業が消費者の声を手軽に聞けるようになったのは喜ばしいことだが、アンケート実施機会が増えるにつれ、“いい加減”な調査に出くわすことも増えた。調査設計に不備があれば、消費者の姿を読み間違う。それを調査リリースとして公表すれば、掲載記事が拡散するほどその反動で信用を毀損することにもなる。残念ながら増えているリサーチ不信を招きかねない事例の中から、特集第1回では、2つのケースを題材に要因を検証していく。

 本特集は、従来型のインターネット調査の枠を超えた、デジタル技術で変わる最新「リサーチテック」の動向と可能性に焦点を当てる。スマートフォンの位置情報を活用して指定地域に出向いた人だけを調査したり、回答速度から“本気度”を測ったり、脳波から「快・不快」を判定したりと、有望なリサーチテックが目白押しだ。

 だが、安易な調査が行われることでリサーチに不信感が生じると、「リサーチでヒット商品は作れない」といったリサーチそのものの不要論・否定論へと飛躍しやすい。生活者調査・観察で威力を発揮し、イノベーションのヒントを探り得るリサーチテックに着目してもらうためにも、リサーチ不信が生じる構造を理解し、解決する必要がある。