企業の生き残りがかかる問題

 社員が働きがいを感じることは、企業にとっても大切です。新入社員の3割が3年で辞めていく、人が定着しにくい時代だと言われます。それでなくても少子化で人手不足です。どうやって優秀な人に入ってもらって、働き続けてもらうのか。企業の生き残りがかかった問題です。

 最近はユニークさを売りにするオフィスも増えていますが、職場環境で社員の機嫌を取るのはお勧めしません。環境にはすぐに慣れますし、やがて飽きが来るものだからです。若手社員に対してなら、上司や先輩が、自ら感じている仕事の意義を伝えるほうがいい。働きがいは人によって違うものですが、それが何であれ、言葉や態度で示せれば、若い人にいい影響があるだろうと思います。もっとも上司や先輩自身が働きがいを感じていなければ、それも難しいことなのですが。

 逆に、これはやめましょうという負の例も示しておきます。自分なりの働きがいを考えるとき、本心とは違うけど通りが良さそうだから、みんながそう言うから、と流されてしまうのは避けたいところです。自分にとってのやりがいでないと意味がない。

 例えば、「クリエイティブな仕事がしたい」「クリエイティブな仕事ならやりがいがある」と言う人がいます。そこでいうクリエイティブとはどういう意味なのか。意味を深く考えず、漠然と思っているだけならば、かえって自分の可能性を狭めます。

 クリエイティブな仕事といっても、誰がやってもクリエイティブになる職種、業務があるわけではありません。その人が日々、仕事の中に課題を見つけたり、それを解決する仮説を立てたり、その仮説を実証したり、何かと何かを関連づけて考えたり、そういうことを怠らずに、創造的知性を発揮して取り組むから、その仕事はクリエイティブになるのです。裏を返せば、あらゆる仕事はクリエイティブになり得ます。

 それなのに、クリエイティブを狭義に捉え、製品やサービスを作り出す仕事、自由度の高い仕事のことだと思ってしまったら、自分の仕事がそうでなかったときにひどくつまらなく思えてしまう。本当はその仕事に面白みや意義、成長の機会などを見いだせたかもしれないのに、目がくもってしまって損をします。

 働きがいを考えること──それはつまり仕事に対して自分なりの切り口を持つこと、会社や他人がその仕事をどう定義づけているかは脇に置いて、自分で捉え直しをすることです。それによって、仕事への向きあい方は変わるはず。そういう働き方改革を、一人ひとりが進めていくのはどうでしょう。働きがいを持って仕事をする、そして自分の存在意義を明確にする。仕事を価値あるものにし、成長できるかどうか、それは自分次第です。

(構成/赤坂麻実)