TikTokで活躍する3人のインフルエンサーと、若者研究の第一人者であるマーケティングアナリスト・原田曜平氏の座談会後編。TikTokでバズる動画を制作する上でのポイントや、ユーチューバーのような収益化の方法について語り合った。

TikTokで人気のスタンプ「ビッグフェイス」を使って、動画を制作。2019年6月4日時点で、いいね数は1万3500に達している
TikTokで人気のスタンプ「ビッグフェイス」を使って、動画を制作。2019年6月4日時点で、いいね数は1万3500に達している

原田曜平(以下、原田)  対談前編で、「TikTokは、素人でもバズる可能性がある」という話が出ましたが、バズる動画を作るときの工夫やコツはありますか。

TikTokで人気のハッシュタグの一覧を確認できる
TikTokで人気のハッシュタグの一覧を確認できる

ゆり(まだない。)氏(以下、ゆり)  まず、TikTokアプリを起動したときに、下段左から2番目にあるマークをタップすると、最近人気上昇中のハッシュタグやチャレンジ(「お題」のあるハッシュタグ)、スタンプ(特殊効果)の一覧が出てきます。そのハッシュタグなどを使うと、比較的多くの人の目に留まりやすい動画を作れると思います。

原田  やはりトレンドに乗ることが基本なんですね。自分の好きなものをただ載せるだけではいけないと。

ゆり  そうですね。以前は、流行の音源に合わせて踊る動画が主流でしたが、最近だと親子や兄弟など家族の動画に関係するハッシュタグや、ブログのような日常動画のハッシュタグ、ペット系のハッシュタグもあります。「TikTokでは踊る動画を作らなきゃいけない」という当初のイメージは薄れてきていますね。だから、比較的誰でもやりやすくなってきています。

原田  多様なジャンルのトレンドの中から自分の好きなものを選べば良くなっているんですね。

こたつ  バズるためには、必ずしも自分を映す必要はないと思うんですよ。例えば、クルマが好きな人だったら愛車を見せたり、料理が得意な人だったら料理を見せたり。すでにそういう動画でバズっているものがたくさん出てきています。自分の好きなもの、得意なことをコンテンツにすることは、1つのポイントだと思います。

 もう1つの工夫としては、有名なティックトッカーと一緒に撮影すること。最初にファンを増やすためにやる人が多いです。

かなた  同感です。最近のTikTokは様々なコンテンツが出てきたので、多分、これからはニッチな分野がもっと広がってくると思います。先ほども出ましたが、得意な料理だったり、好きなクルマだったり。そういうふうに、自分が興味のあるジャンルを1つに絞ってアカウントを作り、同じ趣味のファンを集めることは十分可能だと思います。

TikTokインフルエンサーの3人。左からピアノ演奏動画をアップしている、かなた氏、「全力〇〇」シリーズの動画でブレークした、こたつ氏、女性ティックトッカーのゆり(まだない。)氏
TikTokインフルエンサーの3人。左からピアノ演奏動画をアップしている、かなた氏、「全力〇〇」シリーズの動画でブレークした、こたつ氏、女性ティックトッカーのゆり(まだない。)氏

原田  利用者の数が増えてきたから、様々なジャンルでフォロワーを伸ばす人が増えてきていると。例えばYouTubeでも、芸能人のヒロシさんが、キャンプ芸人として注目され始めているようなことですね。ひょっとしたら、自分の好きなものに特化したほうが、ビジネスチャンスが生まれやすいかもしれない。

かなた  そうですね。これからTikTokを始めるなら、ジャンルを統一したアカウントのほうが、インフルエンサーと組みたい広告主にとっても分かりやすい。もちろん、色々なジャンルの動画を撮影して、タレントのようにティックトッカー自身が人気になるのはすごく羨ましいことですが、全ての人がそうなれるわけではありません。例えば、ポテトチップスのアカウントがあったら、「ポテトチップスが好きだからフォローしよう」という動線は作ることができると思います。

原田  そうか。TikTokで有名になりたい人は、広告主という視点も持つと良いかもしれませんね。他に、バズらせるための工夫はありますか。

こたつ  日本だけではなく、世界各国でバズったら、「いいね」数もフォロワー数も桁違いに増えていきます。だから一番大事なのは、世界共通で内容が分かるような動画をつくること。動きだけで表現する動画とか、英語の字幕を入れるとか。日本語だけの動画は今後、なかなか伸びないのではと思います。

原田  なるほど。TwitterやFacebookは活字が中心だから、結局は国内中心のSNS。ところが、TikTokは動画だから海外にも広がり得ると。動画編集では、気をつけていることはありますか。

かなた  僕はTikTokで「気持ちいいポイントはどこか」というところを意識しています。例えば、速いスピードでダンスをうまく踊っている動画は、かっこよくて気持ちいいじゃないですか。

 でも、誰もがうまく踊れるわけではありません。そこで、TikTokにある速度を変えて撮影する機能を使います。撮影時は速度を半分に落として、ゆっくり動く。それを再生すると、通常のスピードの音楽に合わせてうまく踊っている動画が簡単に出来上がるんです。

原田  自分の実力ではできないことが、動画編集の技術で実現できるという。

かなた氏のTikTok投稿動画の一覧画面
かなた氏のTikTok投稿動画の一覧画面

かなた  そうですね。見てもらう人に向けての工夫は、僕は「これはどういう動画なのか」を見せるために、サムネイルの統一をしています。これは、Instagramでも同じだと思うんですが、アカウントのページを表示したときに統一感があるときれいになりますよね。そこで自分のアカウントページには、サムネイルをきれいにそろえた上で、各動画の間に白いバーを挿入しています。

 投稿順序も自分で決めていて、例えばピアノ動画を3本で1列、トレンド情報も3本で1列に並べて、色味をそろえています。また、各サムネイルには、テキストでカバーしている楽曲の歌手名と曲名を同じ位置に配置しています。

 僕のアカウントページに来てくれた人が、「ただ普通に動画を投稿している他のティックトッカーとは違う」というコメントをしてくれたこともありました。これが狙いでもあったので、工夫としては成功したと思っています。

原田  ただ面白い動画を作るだけではなく、自分のページに統一感を出し、センスを示せるとファンが増えるんですね。

ゆり  私は逆に、そんなに工夫ができていないから、不安になりました(笑)。 私はまず、TikTok動画は「明るさ」が大事だと思っています。やっぱり、少しでもかわいく見られたいという気持ちもあって。専用のライトを使って顔を見やすくしています。表情も、笑うなら思いっきり笑う、変顔をするなら思いっきり振り切った顔をする。そうすると、見ている人たちもきっと楽しいと思うので、オーバーリアクションを心がけています。

こたつ  僕は、1から100までクオリティーを高めるように動画を作りたいと思っているので、満足するまで何回も何回もリテイクを続けます。あとは最近、TikTokの編集機能がさらに充実してきましたよね。特殊効果を加える「スタンプ」の種類が豊富になってきたり、映像のカットがやりやすくなったり。これらの編集機能のおかげで、TikTokアプリで撮影と編集をするだけでショート映画を作れるほどです。僕の動画は、基本的に特殊効果を駆使していて、TikTokアプリは一般的な映像編集ソフトに負けないくらいの機能がある。

原田  やはり、こたつさんくらいファンがいる人は、苦労して何度も撮影している。どんどん進化するTikTokのテクノロジーを学び、アナログの努力も重ね、最高の芸術作品を作るべきなんですね。

ゆり  私は恥ずかしながら、編集の知識は全くなくて。どちらかというと、見ている側のTikTok初心者や学生さんでも、「これくらいの字幕だったら、私も入れられるかな」「こういう動画だったら私にも作れるかな」と思ってほしくて、あえてシンプルな動画を作っています。

原田  まねしやすいことをポイントにしていると。

ゆり  そうですね。「共感」が印象に残りやすい動画のポイントだと思っているので。

原田  凄いスピードで進化するテクノロジーについていくか、素人目線で共感を狙うかの二択が大切なんですね。

原田氏、こたつ氏、ゆり氏、かなた氏の4人で、座談会中に即席でTikTok動画(http://vt.tiktok.com/JDhQtB/)を作成した。TikTokアプリで動画を作成するには、「+」ボタンを押し、「スタンプ」を選ぶ(今回は「ビッグフェイス」を採用)。さらに、上部の「楽曲を選ぶ」からトレンドの音源を選択し、撮影ボタンをタップ。チェックボタンをタップして撮影を終了し、ハッシュタグやコメントをつけて「投稿」をタップする