※日経エンタテインメント!2018年12月号の記事を再構成

ファミリーマートは8月からCMに香取慎吾を起用。第1弾の「ファミマのあの曲で会話」編は、CM総合研究所発表の8月後期「銘柄別CM好感度トップ10」で7位に、9月から放送の「お母さんの秘密」編は6位(10月前期銘柄別)にランクインした。成功のカギはタレントの力とあのメロディーだ。

9月18日から放送された「お母さんの秘密」編。実家に帰った香取が母親の料理を食べて「やっぱお母さんの味は最高!」と感激するが、並んだハンバーグやカレーに「これ、ぜんぶファミマ」とテロップが重なる

 ファミリーマートで焼き鳥を買い、公園でかぶりつく香取慎吾。それを見た会社員が、ファミマの入店時に流れるメロディーに乗せて話しかける。「♪何それ、スゲーうまそうじゃん」。すると香取が「♪ファミマの焼き鳥バカうまい~」と応酬。「♪1本ちょうだい~」「絶対にやだー」とやり取りをしていると、周囲の人々に「♪芸能人のくせにドケチだな~」と合唱される……。コミカルな歌モノで人気を集めた、ファミマの「炭火焼きとり」CMだ。

 「焼き鳥は、主に男性がおつまみに購入している商品。主婦の方などを中心に、『食卓に並べるもう一品』として需要がありますが、その層はあまりコンビニで購入しない。圧倒的な認知と明るさを持つ香取さんにおいしそうに食べていただくことで、女性層にも弊社が焼き鳥を扱っていることを認識いただき、さらにポジティブな印象を持ってもらえたらと思いました」(ファミリーマートの橋本剛氏)

ファミリーマート クリエティブG マネジャーの橋本剛氏。2010年、am/pmよりファミリーマートへ入社後、協賛による各種イベント展開などを経て、17年よりテレビCM制作やデジタルマーケティングを担当している。「香取さん出演シリーズは本当にご好評いただいていて、それがCM総研さんの数字にも、実際のビジネス面での数字にも表れています。今後もできるだけ続けていきたいです」

 クリエイティブディレクターに起用されたのは、ソフトバンクやANAなどのSMAPが出演するCMを多く手掛けてきた、シンガタの権八成裕氏だ。

 「まず考えたのは香取くんの立ち位置です。ファミマのスポークスマン、炭火焼きとりのおいしさを知らずに食べて驚く人……いろんな提案をし、選択いただいたのが、おいしそうに食べる炭火焼きとりのファンという立ち位置でした。それからファミマさんのブランド資産を何か使えないかと思って浮かんだのが、入店音のメロディーです。香取くんは多くのCMに出演していますが、あのメロディーに乗せて会話をすれば、一発で『香取くんがファミマのCMに出ている』と分かると思いました」

 冒頭の「ファミマのあの曲で会話」篇を8月から放送すると、CM総合研究所発表の「銘柄別CM好感度トップ10」で7位に入るヒットとなった(8月後期)。

シンガタ クリエイティブディレクター・CMプランナー 権八成裕氏 1998年、電通入社。2003年に「シンガタ」設立に参加。代表作にソフトバンクSMAPシリーズ、宮﨑あおいのearth music&ecology、サントリー「ストロングゼロ」など。17年は香取、草彅剛、稲垣吾郎が出演したAbemaTV「72時間ホンネテレビ」の企画構成、18年は3人の主演映画『クソ野郎と美しき世界』の企画も手掛けた
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