冬の風物詩となっている明治「メルティーキッス」のCMが、この冬もCM好感度業類1位に輝いた(CM総合研究所調べ、11月度「菓子業類」)。前回は8年目に入った新垣結衣シリーズの誕生秘話を紹介。今回は菓子業類のCMを俯瞰(ふかん)した上で、クリエイティブディレクターを務める、元アサツーディ・ケイ(現在、CM制作会社ハチミツ)の朝生謙二氏らにヒットの秘訣を聞いた。

ブランド力とタレントパワーで、少ない放送回数でも存在感

 まずはCM総合研究所が発表した2018年度「菓子業類」のCM好感度トップ10を見てみよう。

 第1位はハーゲンダッツ・ジャパンの「ハーゲンダッツ」。中条あやみを起用し、両手でカップを包んで食べる「とろけ食べ」や、冷蔵庫に1時間置いて食べごろにする「とろふわハーゲンダッツ」などを上質感のある映像で訴求した。圧倒的な放送回数(出稿量)も特徴だ。

 同様に「食べ方」をテーマにしているのが、8位の江崎グリコ「ポッキー」。三代目J Soul Brothersが、商品をみんなでシェアして食べる「シェアハピ」を訴求して人気を得た。

 第2位はアサヒ「ミンティア」。新キャラクターにムロツヨシ、松岡茉優、満島真之介、堀田真由を起用してコミカルなシリーズを展開し、綾野剛と北川景子が出演した前年度の6位から順位を上げた。同じようにコミカル路線には、関ジャニ∞が出演する森永製菓「チョコモナカジャンボ」(5位)や、“なぜか上だけおっさんガール”がEPOの『う、ふ、ふ、ふ』に合わせて踊る赤城乳業の「ソフ」(6位)がある。これらは「食べる楽しさ」「わくわく感」などを訴求する菓子CMの王道といえる。

 そして少ない放送回数ながら第3位に入っているのが、明治「メルティーキッス」だ。11年の新垣結衣起用以降、13年度に業類5位、15年度に業類4位となり、17年度に3位に。好感度は右肩上がりだが、明治宣伝部の酒見康隆氏は「出稿量は減っています。例えば11年度と比べて17年度は半減しています。それでもCMとしての存在感はちゃんと発揮できている」と話す。

 存在感を発揮できている要因の1つは、冬の風物詩となり得ているため。92年の商品発売以来、一貫して「雪の世界」と「女性タレント」の組み合わせで展開し、ひと目で同商品のCMと認識できるくらいブランドイメージが浸透している。

 もう1つ大きいのは新垣結衣のタレントパワーだ。日経エンタテインメント!が毎年発表している「タレントパワーランキング」で、新垣は11年に女優部門10位だったが、16年の主演ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の大ヒットで17年に初の1位に。18年は綾瀬はるかに首位を譲ったが、それでも国民的女優の1人として確固たる地位を築いている。

 「明治は11年に『アーモンド&マカダミア』のCMに新垣さんを起用し、それが好評だったことから、その冬、『メルティーキッス』にも出演していただこうと考えました。メルティーキッスには、ちょっと高級で上質というイメージがあります。新垣さんは10代のころにブレークされて活発なイメージがありましたが、11年当時は23歳で、大人の上質なイメージも持たれ始めていた。アーモンド&マカダミアのCMでは元気なイメージだったので、メルティーキッスでは違う一面を出していただけるのではないか、という期待も込めてオファーしました」(酒見氏)