自社の商品やサービスを変革するために、外部企業や大学などと組んで知識や技術を取り込むオープンイノベーションが注目を集める。その実現手段の1つとして、企業と研究者などをマッチングしてオープンイノベーションを支援する事業を展開しているナインシグマ・アジアパシフィック(東京・千代田)は、インドでの事業に力を入れる。そこで同社インド代表を務めるハージンダー シン バッティ氏に、インドにおけるオープンイノベーションの現状などについて聞いた。バッティ氏はオープンイノベーションで成功するカギは「オープンマインドセット」にあると指摘するが、その真意とは……。

エグゼクティブクラスが学ぶオープンイノベーション・フォーラムのために来日、講演したハージンダー シン バッティ氏
ハージンダー シン バッティ(Harjinder Singh Bhatti)氏
ナインシグマ・アジアパシフィックのインドカントリーヘッド。20年以上にわたりスイスやドイツのグローバルおよびインドの化学企業で市場調査・開発に従事。最近の8年間は独エボニックのイノベーション担当取締役としてインドで新規事業開発などを手掛け、2018年4月から現職

世界的にオープンイノベーションが注目を集めていますが、インドならではの特徴はありますか。

 日本企業は長く自社で技術開発をしてきた。ソニーやパナソニックなど、私が子供のころから知っているような著名企業を含めて、大半がそうだろう。一方、インド企業は(自社の技術などに固執せず、社外にパートナーなどを求める)外向性が強く、協業へのマインドセットが常にある。自社資源は限られており、一刻も早くマーケットに製品やサービスを出すには、自前ですべては賄えないからだ。ただ、パートナーを探すのは簡単ではない。それをサポートするのが当社の役割だ。

パートナー探しをサポートするマッチメーキングのサービスもたくさんありますが、御社のサービスの特徴は何ですか。

 確かに、グローバルに提供されているマッチメーキングサービスは今までもあった。主には大学が、自らの新技術をライセンスする目的でジョイントベンチャー(JV)を組んでくれる相手先を探すものだった。M&Aも含まれる。

 一方、ナインシグマのマッチメーキングは、JV形式ではない。基本的には、まだアイデア段階の、最初期のプロトタイプを提示する人たちと、そこに興味を持ち、資源を投入したい企業を結び付けるものだ。

 例えばシャツの繊維に防臭効果を持たせたい事業者がいるとする。そのために必要な技術を持っている企業や大学の研究所を、当社のサービスを通じて探す。名乗りを上げた研究所があったなら、防臭効果のために使う成分が1ミリグラムなのか、1グラムなのか、どのくらいの量であれば効果的な製品になるのかなどを、一緒にプロジェクトを組んで進めることになる。

 ただし多くの場合、失敗する。だから忍耐と、失敗を許容する度量が問われる。基本は実験だからだ。だがシステムのメリットはリスクを減らし、オプションを増やすことにある。こんな技術が欲しいと(当社のシステム経由で)提示すれば、10~15もの解決法を提示する大学や企業が現れるだろう。どの段階まで進んだ技術が自社にとって望ましいのかを決めて、提携相手を選定する。