2018年3月期に20年ぶりの最高益更新を見込むソニー。その復活のけん引役として経営をリードしてきた平井一夫会長(前社長)の肝煎りプロジェクトの一つが、新規事業チームのTS事業部門だ。住空間の革新を打ち出す「Life Space UX」をコンセプトに新発想の家電を生み出している斉藤博副部門長が考える新たな「ソニーらしさ」とは、人の暮らしに“楽しみの種類”を増やすことという。

1994年にソニー入社後、デジタルカメラ事業やゲーム事業など、多岐にわたる商品を手掛け、特にミラーレス一眼の「NEXシリーズ」や「PlayStation®4」など、新規性の高い商品を立ち上げる。2013年に社長直下プロジェクトとして発足したTS事業準備室に社内起業家(イントラプレナー)として参画し、現在は組織を新たにしたTS事業部門の副部門長を務める

照明器具に取り付けて音楽を流せる「LED電球スピーカー」や、手軽に持ち運べて家の壁や机、床に映像を投写できる「ポータブル超短焦点プロジェクター」など、世の中になかった製品を次々とリリースし、話題になっています。

斉藤 私が実質的な統括者を務める独立した新規事業チーム、TS事業部門が、「Life Space UX」をコンセプトに送り出している製品群です。Life Space UXとは、今の住空間をソニーが持つ技術やアイデアで変えていくことを主眼とした概念。従来の家電は、家の中で置く場所がおおよそ決まっており、そこに人が移動して使うのが常識でした。そのため、家は本来、個々人が好きなように過ごすべきなのに、家電の制約を受けて誰もが似たような暮らしを強いられているのが実情です。

 また、先端の生活スタイルを紹介するインテリア雑誌の大半の写真に、最近は家電が写っていないことも多い。これは家電が今どきの生活シーンに溶け込んでおらず、家電メーカーの考え方とユーザーの価値観にギャップが生じている現れです。こうした家電の制約を取っ払い、人々のバリューになる自由で新しい生活シーンを創造していく。これがLife Space UX の根本の考え方であり、TS事業部門の使命の一つです。

ポータブル超短焦点プロジェクターの「LSPX-P1」(実勢価格・税別9万2500円)。壁にピッタリ付けると22型、壁から約28㎝離すと最大80型の大きさで映せる