←第7回 買いそうな顧客をAIで絞り込み、日用品では9倍の成果も

リアルな店舗を持つ小売業が、AI(人工知能)やビッグデータをフルに活用してアマゾンなどEC勢への対抗策を打ち始めた。連載「リアル店舗の逆襲」の最終回はビッグデータとAIを活用し、北海道のプラットフォーマーとなり、地域の課題を解決しようとするサツドラの取り組みを紹介する。

企業連携プロジェクト「サツドラ・イノベーション・イニシアチブ(SII)」のWebサイト。AI活用などの連携を官民と進めている

 日本全国の各地域では東京以上に企業の寡占化が進んでいる。筆者が代表を務めるサツドラが拠点とする北海道は、その典型とも呼べる地域である。この地で、流通・小売業として生き残るためにも、地域に貢献できる企業として様々な仕組みを取り入れてきた。AIに着目して、組織を作り、企業と連携して次世代流通に挑んでいるのも、その一環だ。

リテールを入り口とした地域全体のプラットフォーマーへ

 サツドラはドラッグストアとしては北海道でシェア2位の規模だが、全国で見れば中堅以下である。全国規模で寡占化がさらに進んでいく中で生き残っていくためには、1社単独ではなく、どこかとくっついた方が価値を見いだせる。

 そこで、北海道という地域で特色を打ち出すことができて、かつ、生活者に還元できる仕組みとして考えたのが北海道で使える共通ポイントカードの「EZOCA」である。「EZOCA」を始めたのが2014年で、現在、120社700店舗ぐらいで利用できる。会員数は160万超で、北海道における世帯カバー率は5割以上である。

サツドラが運営する地域共通ポイントカード「EZOCA」

 もともと、ドラッグストアであるサツドラの会員には女性が多く、化粧品だけではなく日用品から食品まで幅広く購入していただける層を抱えており、生活密着型のフォーマット(業態)で、来店頻度・購入頻度も高い。こうしたお客様がそばにいて、様々なデータも収集できる。共通ポイントカードは、地域の「プラットフォーマー」として成長する地域の資産だというふうに考えた。

 EZOCAを介して地域貢献に取り組んでいる。例えば、サッカーチームの北海道コンサドーレ札幌と組んで「コンサドーレEZOCA」を発行している。サポーターになってもらう企業を募って、その企業の店舗で買い物をすると0.5円がチームに還元できるようにした。ファンにすれば、どうせ同じものを買うならEZOCAの加盟店で買おうということになる。

 会員企業には分析レポートを無償で定期的に提供している。売り上げを上げるためにどうすべきかというコンサルティング的なことも手がけている。加盟している企業同士が相互に送客した方がいい場合、相手のレシートにクーポンを印刷したりすることを提案している。メーカーやサポート企業同士を結びつけるマーケティングも展開しており、サッポロクラシックEZOCAコンサドーレ応援缶という缶ビールもその1つだ。