全12回

デザイン経営、成功と失敗の分岐点

デザインに関心を抱く中小企業経営者が増えている。デザインの力で付加価値を高めようと期待するが、デザイン経営の成果を上げるのは難しい。プロダクトのデザインにとどまり、企業全体にデザインに対する理解が広がらないからだ。10社の事例から成功と失敗の分岐点を探った。

目次

  • 2018.03.24
  • 第1回
総論 経営者は「デザイン参謀」としての役割に期待
「今までは“デザイン経営”なんて、当社は考えたこともなかった。しかし経営環境の悪化に伴い、このままではじり貧になる。その前にデザインを武器に付加価値を付け、何とか突破口を開きたかった」「このままでは、下請けばかりの仕事で、大手から安い値段で買い叩かれるばかり。自社ブランドを持つことで高価格で売り、低価格の悪循環から逃げ出したかった」──。
  • 2018.03.24
  • 第2回
ゑびや/伊勢ゑびや大食堂、ゑびや商店 デザイン×テクノロジーの経営刷新で年商4倍に
伊勢神宮の参道で飲食店と土産物店を経営するゑびやは、経営方針を抜本的に見直し、売り上げを4倍に伸ばすことに成功した。店舗のコンセプトはもちろん、食材の仕入れ先やメニューもすべて見直し、店舗も全面改装。オリジナルの土産物の企画販売も新たに手掛けるなど、変えなかったのは社名くらいではないかと見えるほどの徹底ぶり。その改革の大きな力になったのがデザインだ。
  • 2018.03.24
  • 第3回
IKEUCHI ORGANIC/オーガニック120など 理想のタオルをファンと育てる
IKEUCHI ORGANICは、愛媛県今治市に本社を構えるタオルメーカーだ。「最大限の安全と最小限の環境負荷」というコンセプトを掲げ、厳しい基準をクリアしたオーガニックコットン100%の自社ブランドのタオルを製造・販売している。工場やオフィスで使用する電力は100%風力発電でまかない、「赤ちゃんが口に含んでも安全」であることを証明する繊維製品の国際認証「エコテックス規格100」のクラス1もクリア。2014年には社名を「池内タオル」からIKEUCHI ORGANICに変更し、現在はタオルだけでなく、オーガニックコットンやオーガニックウールでつくったオリジナルのベビー用品も取り扱う。東京と京都、福岡、今治に直営店があり、公式オンラインショップも運営。1999年に自社ブランドを立ち上げた当初は、わずか700万円ほどだった売り上げも、現在は「80倍以上」とIKEUCHI ORGANICの池内計司・代表取締役は言う。根強いファンが存在し「顧客の約半数はリピーター。当社のブランドは、ファンになってくれたお客さんと一緒に成長してきた」(池内代表)。
  • 2018.03.24
  • 第4回
ミズキ/ウェブやロゴ、工場の見直し ウェブや工場を刷新し、海外受注が増加
ウェブの見直しから始まり、ロゴや制服、新工場の内装部分の刷新まで、デザイン経営に向けて一気に舵を切っているのが、神奈川県綾瀬市にある精密部品メーカーのミズキだ。水木太一・代表取締役は、ブランディングを手掛けるそれからデザインの佐野彰彦・代表取締役 デザイナーと手を組み、デザインによる企業改革を推進している。
  • 2018.03.24
  • 第5回
にしき食品/レトルトカレーなどオリジナル商品の開発 絵本のようなパッケージで安売りからの脱却目指す
生活雑貨などのセレクトショップで最近よく見かける印象的なパッケージがある。宮城県岩沼市に本社を構える、にしき食品のレトルトカレーだ。
  • 2018.03.24
  • 第6回
これからの時代のビジネスを支えるデザイナーになるには 「知る」から始めるデザインプロセスと海外の潮流
企業とデザイナーは今後、どう関わるべきか。デザイナーに求められる新しい役割は何か。海外動向にも詳しいTakramの佐々木康裕ディレクター・ビジネスデザイナーに聞いた。「作る」だけではなく、プロセス全体を見渡せるプロデューサー的な役割も求められるという。
  • 2018.03.24
  • 第7回
ジャクエツ/子供用遊具の開発・製造 社外との協業で結果を出す独自の「プレイデザインラボ」
社外のデザイナーを起用した商品開発はもはや珍しいものではないが、ジャクエツの「プレイデザインラボ」は目新しい取り組みだ。幼稚園や保育園などで使われる子供用遊具を多く手掛けるジャクエツで、2015年に正式に発足したこの組織は、「デザイン」「リサーチ」「リレーション」機能を有した遊びの研究所。そこに、フェローとして名を連ねた社外のデザイナーや研究者が加わり、協業することで商品開発などを行う。ジャクエツからのメンバーは、各部署から募った10人程度の若手中心の社員たちで、主にリレーション機能を担う。
  • 2018.03.24
  • 第8回
塩山製作所/MGVsワイナリー 元半導体工場が手掛けるワイン事業
古くからブドウの産地として知られている山梨県甲州市には、甲州ワインを生産するワイナリーが数多く存在する。そんな甲州市の勝沼町に2017年4月に誕生した「MGVsワイナリー(マグヴィス、以下同じ)」は、地元で半導体製造を手掛ける塩山製作所が、新規事業として立ち上げたものだ。アートディレクターでデザイナーの田子學氏(エムテド・代表取締役)がコンセプトづくりなどのディレクションを務め、2015年3月まで半導体工場として稼働していた第2工場をワイナリーにリノベーションした。
  • 2018.03.24
  • 第9回
森田アルミ工業/エンジニアスキルを持たせたデザイナーの育成 コンセプト実現に徹する独自の組織体制
社員数が約60人の企業ながらデザイン部門を抱え、独自に開発した商品でヒットを連発し、国内外のデザイン賞を相次ぎ獲得している建材メーカーがある。大阪府阪南市に本社工場を置く、森田アルミ工業だ。
  • 2018.03.24
  • 第10回
ゴーリキアイランド/真ちゅうの照明器具、インテリア製品 船造りの精神を、真ちゅう製品のデザインに
ゴーリキアイランドは、三重県伊勢市にある照明器具やインテリア・建築金物のメーカーだ。同社の製品は、ほぼすべてが真ちゅうで作られている。真ちゅうは銅と亜鉛の合金で、海水による腐食に強いことから、古くから船舶の艤装(ぎそう)に使われてきた。実は同社の母体は強力造船所。船造りで培った技術を応用してインテリア製品に進出した。製品のデザインも、船舶用の照明器具をモチーフにするなど、船と海を思い起こさせるものが多い。
  • 2018.03.24
  • 第11回
庵町家ステイ/「京町家」に泊まる旅を提供 古い街並みを、価値を生む存在に変える
京都市の魅力は神社仏閣だけにあるのではない。太平洋戦争でも空襲に遭わなかった京都には、古い街並みがそこかしこに残り、ただ街を散策するだけでも、どこか懐かしい、日本の風景に出合うことができる。こうした景観を支えているのが「京町家」と呼ばれる木造家屋だ。
  • 2018.03.24
  • 第12回
SEKAI HOTEL/民泊施設「SEKAI HOTEL」 古い街並みを、価値を生む存在に変える
庵町家ステイと同様に、街全体を宿泊施設にした例が大阪市にもある。2017年6月からSEKAI HOTEL(セカイ ホテル)が西九条で運営する「SEKAI HOTEL」だ。中古住宅のリノベーションを手掛けるクジラ(大阪市)などのベンチャー数社が共同で推進する民泊事業で、建て直しが難しい中古住宅を買い取って改装。訪日外国人観光客や国内観光客向けに民泊施設として提供している。庵町家ステイのように、1つの中古住宅が丸ごと1つの「客室」になる。客室にはミニキッチンや風呂などを備えるが、地元の喫茶店や公衆浴場などを使えるサービスも用意。宿泊客が地元と交流できる仕掛けを盛り込み、日本の「日常」を体験できるようにした。

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