←第4回 “未来のハイエース”に勝機?トヨタと組むウーバーCEOの青写真

モビリティ革命「MaaS(Mobility as a Service)」の実像に迫る特集の5回目。前回の「“未来のハイエース”に勝機?トヨタと組むウーバーCEOの青写真」では、モビリティのサービス化に向かう自動車メーカーの戦略にフォーカスを当てた。その核となる、クルマの移動データを巡って虎視眈々と事業を拡大しているベンチャーが実はある。2013年創業のスマートドライブ(東京都品川区)だ。巧みな戦略で「つながるクルマ」を爆速で増やすスマートドライブが描く近未来は、クルマを実質無料で“買う”時代だ。

スマートドライブは、GPSと各種センサーによるリアルタイム車両管理サービス「DriveOps」を法人向けに提供する他、4月からはコネクテッドカーに毎月定額で乗れる個人向けサービス「SmartDrive Cars」の提供を始めた

 トヨタ自動車が今夏発売の次期クラウンに「DCM(データ・コミュニケーション・モジュール)」と呼ばれる通信機器を標準装備。これを皮切りに、DCM搭載の「つながるクルマ」を、2020年までには日米で販売する全車(トヨタ車、レクサス車)に展開する方針を打ち出した。また、日産自動車も22年度までに全車に搭載する構え。クルマがネットにつながり、莫大な走行データをリアルタイムに利活用する「コネクテッドカー」時代が、ようやく、そして急速に本格化しようとしている。ここで集まるビッグデータは、カーシェアやライドシェアといった移動サービスの展開、さらには公共交通機関などとの連携によって、あらゆる移動を快適に効率的に変える「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」のクルマ側の世界では非常に重要なカギを握る。

 このモビリティの未来の一端をつかさどるクルマの移動データを一体誰が握るのか。実は、その答えは「自動車メーカー」だけとは限らない。かつて企業データベースで覇権を握った米オラクルのように、移動データの覇者となるべく虎視眈々と事業を拡大しているのが、スマートドライブだ。

 同社は、クルマのシガーソケットに取り付ける専用デバイスに、通信モジュールやGPS、6軸の加速度センサーを内蔵。走行ルートや急加減速の回数、クルマにかかったGフォース(加速度)といった最大50~60項目にわたるデータを収集し、走行経路や運転の危険度などを独自に分析。それを基に、安全運転をすると自動車保険料が安くなる「テレマティクス保険」の取り組みをアクサ損害保険で共同で行っている。また、物流会社や営業車両を保有する企業、タクシー会社などBtoB向けには、車両管理や運行効率化サービスを提供中だ。

スマートドライブの専用デバイス。ほとんどのクルマに装着可能

 そんなスマートドライブの強みは、大きく2つある。まず専用デバイスは、既存のコネクテッド機能が付いていない自家用車や中古車など、ほとんどのクルマに「後付け可能」であること。新車でも、車両価格が安いためコネクテッド機能がしばらく標準装備されそうにない小型車や軽自動車がターゲットになる。現状で自動車販売台数の多くを占める“大票田”を捉えて、大衆車を一気に「つながるクルマ」に変える可能性を秘める。専用デバイスはテレマティクス保険の加入者向けに配布する他、今後は1万円前後で一般販売し、安全運転の度合いやデータ提供の対価として半額を還元するなどの施策を打って広げていく構想だ。